スマホ(おまけの話) 

よく小説家が、「主人公が勝手に動いてくれた」とか、「ラストは書いてみないとわからない」など言うのを聞くが、本当にそんなことってあるのだろうか?と思っていた。
だが、この日記を書くとき、よく書こうと思っていたことと全く違う事を書いていることにハタと気がつくことがある。
もちろん、くだんの小説家と同レベルの「書いてみないとわからない」ではないことは言うまでもないのだが、前回の「スマホ」は本当は「着信音」というタイトルで書き始めた。


ところが、最初の前置きが長くなってしまって、結局は「とりあえずこの辺でおしまいにいしよう」となると、「着信音」まで辿りつかず、仕方なくタイトルの変更となったわけである。
そういう時の文章は消化不良で、そのことを書くのなら、あれも書けばよかったと後で思うことがよくある。


そんなわけで、前回の新入社員君のことを、もうすこし書いておきたい。
彼の朴訥な電話の話し方に、微熱でボーッとしていた私は意外に好感が持てた。
二人が来訪し、ほとんどベテラン君の一人舞台でしゃべり回っている間、彼はただ固くなって神妙にしていた。
その彼がたった一回話した言葉はこうだった。
「入社して一ヶ月半経ちますが、電話で訪問を許されたのは今日が初めてでした。それだけでも有難いのにこうして成約までしていただき、今日は私にとって忘れられない日になりました。本当にありがとうございました」
やっぱり電話と同じように訥々とした言い方だった。


そうきちんとお礼を言われたことは私にとってもうれしいことだった。スマホに全く興味がなかったわけでなく、いいきっかけで話が聞けてよかったとも思った。そして、こういう一期一会もあるのだなぁとおかしかった。
もしベテラン君のそつのない電話がかかってきていたら、きっと「けっこうです」とガシャンと電話を切っていただろうから・・・


そんなわけで、ソフトバンクスマホが悪いというわけではなく、ベテラン君のその後の対応に少々後味の悪さが残ったことと、私の周りはドコモのケイタイが多いので、絵文字が全く届かないことが少々不満である、ただそれだけのことである。